工場や屋外施設では、照明やポンプ、ファンの電磁接触器(マグネットコンタクタ)を操作するためだけに、往復数十分かけ現場まで足を運んでいるケースは少なくありません。 本記事では、制御盤に長距離の通信配線を引くことなく、LoRa無線で電磁接触器の遠隔操作を可能にする接続例を紹介します。
自己保持回路に「Field Magic」の無電圧接点出力を組み込み、現地の押しボタン操作をそのまま残しながら、事務所のPCやタブレットからのON/OFF操作を両立させます。実際の機器を用いた回路と動作の様子をまとめました。
構成のポイント
電磁接触器側の回路は、一般的な自己保持回路のまま変更しません。接点入出力ユニットBBUS-R2P2のリレー2点を、既設の押しボタンに対して次のように入れます。
出力1:ONボタンと並列(COM–NO)
短時間だけ閉じてマグネットコイルを励磁し、自己保持がかかって電磁接触器(マグネットコンタクタ)がONになります。ノード設定は「出力ポート制御/操作:ON/時間指定:1秒」です。
出力2:OFFボタンと直列(COM–NC)
短時間だけ開いて自己保持回路を切り、電磁接触器(マグネットコンタクタ)がOFFになります。BBUS-R2P2のリレーはC接点なので、NC端子に配線するだけでb接点として働きます。
電源が落ちたとき
自己保持が解けるため、復電しても勝手に再起動はしません。また、電磁接触器(マグネットコンタクタ)の状態を保っているのは自己保持回路側なので、無線が途切れても電磁接触器の状態は動きません。
マグネットコンタクタ(電磁接触器)の遠隔操作の動画
Field Magicの操作画面からのON/OFFと、同じ盤を現地の押しボタンで操作する様子を撮影しました。
回路図と使用機器


本記事の回路は参考例です。実際の結線に必要な端子の対応や盤内工事の手順は、導入レシピ「制御盤を遠隔操作する工事計画と電気工事」をご覧ください。
【導入レシピ】制御盤を遠隔操作する工事計画と電気工事
| 役割 | 使用機器 | 型番 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 遠隔操作・スケジュール | Field Magicコントローラー | BFLM-CL | 親機。ブラウザで操作・設定 |
| 無線通信(子機) | BBUS LoRaユニット | BBUS-LR-FLM | 盤側に設置。親機とLoRa無線で接続 |
| 接点出力 | BBUS 接点入出力ユニット | BBUS-R2P2 | C接点リレー出力2点(ON側・OFF側) |
| 主回路制御 | 電磁接触器 | 三菱電機 S-T12 | 設備の電源を制御 |
| 手動操作 | 押しボタンスイッチ(1a+1b) | パナソニック BL82011 | ON/OFFが1つの筐体。既設のボタンをそのまま使う |
| 状態表示 | パイロットランプ | 富士電機 DR22D0L-E3A | ON時に点灯 |
この構成で解決すること
- 通信回線が引けない場所でも遠隔化できる:
親機と盤の間はLoRa無線で、LAN配線もインターネット回線も月額費用も要りません※。 - 現地の操作性を落とさない:
押しボタンは撤去せず、遠隔と現地のどちらからでも入れ切りできます。 - Field Magic側の不調が設備に波及しない:
自己保持回路が状態を保つため、子機の再起動や無線断があっても電磁接触器(マグネットコンタクタ)はそのままです。
※ 親機は、操作するPCやスマホと同じ事務所側のLANにつなぎます。配線を引かずに済むのは、親機と盤の間です。
向いている現場
次のような、有線での遠隔化が難しい設備に適しています。
- 本館から離れた別棟・屋外にある照明など
活用事例:テニスコート照明を遠隔制御 – LoRa無線で掘削工事を回避する - 敷地が広く、盤が点在していて巡回に時間がかかる施設
活用事例:高層ビル建設現場の仮設分電盤を事務所から一括制御 - 農場・山間部の施設など、通信回線そのものの確保が難しい場所
活用事例:山中のポンプ盤を、老朽化した制御線の代わりに管理棟からLoRa無線で操作
接続先が電磁接触器ではなくリモコンリレーの場合は、リモコンリレーの無線化とスケジュール点灯(導入レシピ)をご覧ください。
Field Magicについて
Field Magicは、920MHz帯のLoRa無線で広い敷地に点在する設備を監視・制御するシステムです。買い切りで、クラウドは使わないため、月額の利用料もかかりません。

- LoRa無線で、配線の難しい場所の盤を親機に束ねる(通信距離は設置環境により大きく変わります)
- コントローラー内蔵の画面をブラウザで操作。インターネット接続は必須ではない
- スケジュール制御の標準アプリを搭載
- 既設設備への後付けを前提に設計。必要な盤から段階的に導入できる

