【導入レシピ】離れた貯水槽のポンプを無線を使って自動制御する – 連動制御編

本記事は前後編記事の後編で、取得した水位データと連動して給水ポンプを自動制御する手順を解説します。水位計の設置や、水位データの取得・見える化については、前編の「見える化編」の記事をご確認ください。

【計画】 しきい値の考え方と、機器構成

しきい値は「ON用」と「OFF用」の2つを設定します。水位が下がってON用しきい値を下回ったらポンプが動作し、水位が上がってOFF用しきい値を上回ったら停止します。2つのしきい値の間に幅を持たせることで、ポンプの頻繁な発停を防ぎます。

対象は、水位が低いときに給水ポンプがON、満水でOFFになる給水パターン(水源からこの貯水槽へ水を汲み入れる給水ポンプ)です。

本記事では、電磁接触器で制御するポンプを例にします。「見える化編」で使った親機・通信ユニット・BBUS-AD2・水位計に加えて、ポンプの電磁接触器を操作する入出力ユニット(BBUS-R2P2)を用意します。

用意するもの(材料・「見える化編」からの追加分)

品目役割
入出力ユニット
BBUS-R2P2
接点出力2点・入力2点。ポンプの電磁接触器の操作回路を制御し、稼働状態を監視します。

【工事】 ポンプの操作回路に入出力ユニットを追加する

入出力ユニット(BBUS-R2P2)を、通信ユニットと同じ盤内に取り付け、ポンプの操作回路に接続します。現地優先ボタンの維持、ワンショット出力による現地操作との競合回避、稼働状態の監視といった回路の考え方・結線は、「制御盤を遠隔操作する工事計画と電気工事」の【工事計画】【電気工事】と同様ですので、そちらの記事をあわせてご覧ください。

【親機設定】管理画面で無線電波強度を確認

設置したデバイスとの安定した通信のために、必要な電波強度が得られているか確認します。
親機のシステム管理画面から設置したデバイスを登録し、電波の強さ(RSSI)を確かめます。

詳細な手順については下記の記事をご確認ください。

【親機設定】 しきい値でポンプの発停を自動化する

ここまでで、水位データの取得(「見える化編」)と、ポンプの操作回路(工事)の準備ができました。次は、水位データからしきい値を判定し、ポンプを自動で発停させる設定です。

前編記事で作成したNodeREDフローにポンプを制御できるよう拡張します。

ブラウザのシステム管理画面からNodeREDにアクセスしてください。
下記のファイルをダウンロードし、NodeRED画面にドラッグ&ドロップしてください。

NodeREDフロー: flows-tank-pump-control.json

追加されたフローをコピーし、前編記事のフローに貼り付けて、下記のようなフロー図になるように編集してください。

前編記事の「水位の値を取り出す」ノードと本記事の「水位の値で判定」ノードを接続します。

ノードの役割はそれぞれ下記となります。

ノード名役割
1分ごと1分ごとにフローを動作させます。
水位を取得BBUS-AD2から水位センサーの値を取得します。
水位の値を取り出す取得した水位センサーの値を加工します。
時系列データ保存水位センサーの値を保存し、Grafanaから参照できるようにします。
水位の値で判定水位センサーの値としきい値を比較して、ポンプをON・OFF制御するか判定します。
水位判定判定結果から、ON・OFF制御または無操作を切り替えます。
ポンプON / ポンプOFFBBUS-R2P2でポンプのONまたはOFF制御を実行します。

ポンプ制御フローの設定

  1. 「ポンプをON」という名前をダブルクリックしてBBUS-R2P2ノード設定画面を開きます。
  2. 「NWデバイス」で制御する対象の通信ユニットを選択します。
  3. 「完了」をクリックします。
  4. 同様の動作を「ポンプをOFF」でも繰り返します。
  5. 「デプロイ」をクリックします。

デフォルトのポンプON・OFF制御設定は、
現地優先ボタンとの競合を避けるため1000ms(1秒、ワンショット)になっています。
「時間指定」を「0」に変更すると時間は無制限になり、例えば「ポンプをON」ノードが実行された場合、出力はONを保ち続けます。

しきい値の編集

水位のしきい値はデフォルトで下記のように設定されています。

しきい値値(mm)
ON
(水位が設定値以下になら自動ON)
300
OFF
(水位が設定値以上なら自動OFF)
1500

しきい値を編集する場合、「水位の値で判定」ノードをダブルクリックし、値を変更してください。

NodeREDでの設定は以上となります。

【動作確認】 しきい値どおりにポンプが発停することを確認する

  1. 水位を変化させる:
    実際に給水・排水するか、水位計を手で上下させるなどして、水位の値を変化させます。
  2. ON用しきい値でポンプが動くことを確認する
    水位がON用しきい値を下回ったときに、ポンプが動き出すことを確認します。
  3. OFF用しきい値でポンプが止まることを確認する
    水位がOFF用しきい値を上回ったときに、ポンプが止まることを確認します。
  4. 現地優先ボタンでも操作できることを確認する
    現地の押しボタンからも、これまでどおりON・OFFできることを確認します(現地の盤にON・OFFの押しボタンがある場合)。

まとめ

老朽化した電極棒による自動発停を、水位データとしきい値を使った連動制御に置き換えました。

電極棒はあらかじめ決まった高さでしか水位を検知できませんでしたが、水位計を使った連動制御にすることにより、水位を数値で把握できるだけでなく、ポンプの発停のしきい値をユーザー自身で自由に設定・変更することができるようになります。

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