無線が届くかどうかは、図面上の距離では決まりません。同じ100メートルでも、間に金属盤やコンクリート壁、樹木があれば電波は弱まります。機器を盤に固定する前に電波強度を測り、測定値から中継の要否を判断します。
本記事では、アンテナの取り付け位置、電波強度の測り方、中継経路の設定を説明します。
アンテナを盤外・高所に取り付ける
アンテナの取り付け位置で、電波の届き方が変わります。
- 盤の外へ出す:
金属製の盤は電波を遮ります。延長アンテナで、アンテナを盤の外へ取り付けます。 - 高い位置へ上げる:
屋外では樹木も電波を遮ります。葉が茂る時期は、電波の減衰が大きくなります。アンテナを高い位置へ上げて、親機との間の見通しを確保します。

電波強度(RSSI)を実測して判断する
親機と設置予定の位置の間で電波が届くか、電波強度(RSSI)を測定します。電波強度は受信した電波の強さで、単位はdBmです。0に近いほど強く、マイナスの値が大きいほど弱い電波です。Field Magicの受信限界は−123dBmですが、電波強度の変動を見込んで−110dBm以上を目安にします。
電波強度(RSSI)の測定値と対応
| 測定値 | 対応 |
|---|---|
| −110dBm以上 | 必要な電波強度が得られています。 |
| −123dBm以上 −110dBm未満 | 通信はできますが、データの欠損が起こる場合があります。高所へのアンテナ設置や、中継点を経由させることを推奨します。 |
| −123dBm未満 | 通信できません。 |
ネットワークデバイス一覧で測る
電波強度は、親機のシステム管理画面で測定します。
システム管理画面には、WEBブラウザを使用してアクセスします。
システム管理画面へのアクセス方法

- コントローラーのLANポートにLANケーブルを接続し、PCなどの端末と同じネットワークに接続してください。
- コントローラーの電源を投入し、STATUS LEDが点灯したら、本体裏面のラベルに記載されているURL(http://<機器コード>.local)にアクセスしてください。
電波強度の確認
一覧画面に表示される各子機行に通信経路(1段目・2段目)と、最終通信の日時および電波強度が表示されます。行ごとの「通信テスト」を押すと、親機が対象の子機と通信し、最終通信欄の日時と電波強度が更新されます。

子機を中継点にする
−110dBm以上が得られない場合は、親機と子機の間に中継点を置きます。十分な電波強度がある子機を中継点に指定します。 地下ピットなど電波を強く遮る場所の場合には、1段目の中継点を近距離に配置します。

親機は、経路の情報をデータに含めて送信します。中継を1段挟むごとに通信区間が増え、応答に遅延が発生します。
中継点には、電源を接続した子機を選びます。
中継点になった子機は、自分の通信に加えて他の子機の通信も中継するため、送信の回数が増えます。バッテリー駆動の子機を中継点に指定すると、電池の消耗が早まります。
中継経路を設定する
中継経路は、親機の管理画面で設定します。経路の情報は親機が送信するデータに含まれるため、中継点になる子機の側で設定は必要ありません。
- 子機の編集を開く:
ネットワークデバイス一覧で、中継経路を設定する子機の「編集」を押します。 - 1段目中継を選ぶ:
プルダウンから、親機に最も近い中継点の子機を選びます。 - 2段目中継を選ぶ:
もう1段挟む場合だけ、次の子機を選びます。1段で届くなら空のままにします。 - 更新する:
「更新する」を押すと、一覧の通信経路欄に選んだ経路が表示されます。

設定したら、もう一度「通信テスト」を押し、電波強度が−110dBm以上になったかを確かめます
通信が時々失敗するときは通信ログを見る
ネットワークデバイス一覧には、最終通信1件の電波強度だけが表示されます。通信が断続する場合は、通信ログで過去の記録を確認します。
通信ログには、親機と子機がやり取りしたフレーム(無線で1回に送る通信のまとまり)が、1件ずつ時刻つきで残ります。送信元、送信先、フレームの種別、電波強度、中身(ペイロード)まで記録されます。時刻や送信元で絞り込めるほか、CSVでダウンロードできます。
- 応答が返っていない:
親機からの送信は残っているのに、子機からの応答が残っていません。電波が届いていない状態です。アンテナを見通しが取れる位置へ設置するか、中継点を設定します。 - 応答は返っているが電波強度が低い:
届いてはいますが、−110dBmの目安を下回っています。電波強度が低い時間帯に動く設備や、出入りする車両が経路を遮っていないかを確かめます。

無線のほかに、有線(LAN)も選べます。
無線の通信ユニット(BBUS-LR-FLM)に代えて、LANの通信ユニット(BBUS-ETH-FLM)を使えます。有線なら、電波強度の測定は不要です。
無線運用は、実際の電波強度で判断し、中継点を活用する
無線が届くかどうかは、現場ごとの遮蔽物で決まります。機器を固定する前に電波強度を測れば、アンテナの位置と中継の要否を測定値から判断できます。
電波の通り方は、運用を始めたあとも変わります。樹木の成長などで電波強度は下がるため、通信の失敗が続くときは、経路と電波強度を確認して中継経路を設定し直します。
電気配線工事には電気工事士の資格が必要です。工事は電気工事会社にご依頼ください。Field Magicは、一般産業設備・施設における運用上の監視・制御を対象とした製品です。故障や誤動作が人命・重要インフラ・環境に重大な影響を及ぼすおそれのある用途には使用できません。
詳細は、製品の取扱説明書・仕様書をご確認ください。

