Field Magicのコントローラー(無線親機 BFLM-CL)は、LoRa無線の基地局であると同時に、制御・可視化・データ蓄積のソフトウェアを内蔵した小型サーバーです。本記事では親機内部のソフトウェア構造を整理し、親機の中で何が動いているのか、アプリと制御ロジックはどう繋がっているのかを解説します。
3層で構成されるOS
親機に搭載されたソフトウェア(OS)は、3つの層で構成されます。

| 層 | ソフトウェア | 担うこと |
|---|---|---|
| UI層 | スケジュールアプリ、マップアプリ、Grafana | 設備の操作、状態の確認、蓄積データの閲覧 |
| 制御層 | Node-RED | 操作・イベントの受付、無線コマンドへの変換と実行 |
| 基盤層 | LoRa通信部、管理画面 | 子機とのLoRa無線通信、子機の登録、通信ログ、本体設定 |
3層の違いは、業務の違いでもあります。
- UI層:日常の運用者によるスケジュールアプリ、マップアプリの利用
- 制御層:導入・構成変更時のNode-REDのフロー設定
- 基盤層:導入時およびトラブル時の解析
UI層は、運用者が日常的に触れる画面を提供します。UI層で行った操作は制御層のNode-REDに渡り、Node-Red上での制御を経て基盤層に渡ります。基盤層では、子機とのLoRa無線通信と、その前提となる構成情報(子機の登録、通信設定)を担います。Node-REDが組み立てたコマンドは、基盤層を通って子機へ届きます。
データの記録は、子機から取得したデータをNode-REDの制御で時系列データベース(TimescaleDB)に保存します。Grafanaは時系列データベース参照し、グラフ描画します。
すべての画面には、ブラウザからLAN経由でアクセスします。親機は、外部のサーバーを使わず、制御の実行とデータの蓄積を自機の中で行います。
本体設定のWEBサーバー設定では、マップアプリ、スケジュールアプリ、Node-RED、Grafana、管理画面のそれぞれに、別のユーザー名とパスワードを設定します。日常の運用者にはアプリの認証情報だけを渡し、フローや構成に触れるNode-REDと管理画面はパスワードで認証します。
UI層 — 日常の運用を担うアプリ
すべてのアプリは、PCやスマートフォンのブラウザからURLアクセスします。
スケジュールアプリ — 曜日・時刻・祝日で自動制御する
設備のON/OFFを時間で自動化するアプリです。操作の中心はタイムスイッチで、「入・自動・切」の3ポジションを持ちます。「自動」ではスケジュールに従って動作し、「入」「切」に切り替えれば手動で即時操作できます。

スケジュールは曜日ごとに時刻と操作(入/切)を複数設定でき、祝日・特日には専用の枠で時刻と操作を設定できます。「平日は稼働、祝日は停止」のような運用を、スケジュール設定だけで実現できます。
マップアプリ — 図面・地図の上で監視・操作する

点在する設備を、工場図面や地図の上に配置して監視・制御するアプリです。敷地が広い現場でも、状態の確認から操作までを一つの画面で行えます。
Grafana — 蓄積データを時系列グラフで見る

親機のデータベースに蓄積されたセンサーデータ、例えば電力量や環境データの推移を、時系列グラフで表示します。
制御層 — ビジュアルプログラミング環境 Node-RED
Node-REDは、ブラウザ上で動くビジュアルプログラミング環境です。Field Magicでは、制御ロジックをすべてNode-REDのフローとして記述します。

親機のNode-REDには、Field Magic専用のノードが用意されています。
- アプリ待受・イベント待受: UIアプリからの操作や子機からのイベントを、フローの起点として受け取るノード
- BBUSノード(BBUS-R2P2 / BBUS-AD2 / BBUS-RM8): 入出力ユニットへのコマンド(出力ポート制御、データ取得など)を組み立てるノード
- 時系列データ保存: 取得した値をデータベースに書き込むノード
スケジュールアプリを例にすると、制御は次の経路をたどります。

アプリの操作はイベントとしてNode-REDに渡り、フロー上のBBUSノードがコマンドを組み立て、基盤層がLoRa無線で子機へ送ります。アプリ側のアクション名とNode-RED側の待受ノード名が対応しているため、どの操作で何が実行されるかは、フローを開けばそのまま確認できます。
センサー側は同じ経路を逆にたどります。子機の値は基盤層を経てBBUSノードに届き、時系列データ保存ノードがデータベースに書き込みます。Grafanaはこの蓄積データを表示します。
センサー値がしきい値を超えたら送風機を起動する、複数のセンサー条件で分岐するなど、ハードウェアタイマーやPLCで組んでいたロジックを、フローの編集で実現できます。上位システムや外部APIとの連携も、フローで記述が可能です。
基盤層 — LoRa通信と構成の管理
基盤層は、子機とのLoRa無線通信そのもの(フレームの送受信、中継経路、通信ログの記録)と、機器構成情報を担います。上層のアプリやNode-REDが子機と通信する際、無線区間の送受信は基盤層が行います。
管理画面は、この層を設定・診断するための画面です。管理画面では以下の機能を提供しています。

ネットワークデバイス管理
子機の登録・編集を行います。一覧画面には子機ごとの電波強度(RSSI)と最終通信日時が表示され、通信テストで疎通を個別に確認できます。
通信ログ
親機と子機の間で交わされた全フレームが、送信元・送信先・フレーム種別・RSSI・ペイロードまで記録されます。時刻や送信元で絞り込み、CSVでダウンロードできます。「制御が届かない」「センサー値が来ない」といった事象を、フレーム単位の記録に基づいて切り分けられます。
本体設定
時刻同期(NTP)、LoRa無線チャンネル、LAN設定、画面単位のアクセス認証(BASIC認証)、データ保持期間、ファームウェア更新、設定のバックアップ・復元をここで行います。
3層の機能が1台の親機で完結
通常、3層は別々の製品に分かれますが、Field Magicでは親機1台で完結します。親機のソフトウェアを3層の区分で理解いただくことで、どこで何が実行されているかを判断することができます。
電気配線工事には電気工事士の資格が必要です。工事は電気工事会社にご依頼ください。Field Magicは、一般産業設備・施設における運用上の監視・制御を対象とした製品です。故障や誤動作が人命・重要インフラ・環境に重大な影響を及ぼすおそれのある用途には使用できません。
詳細は、製品の取扱説明書・仕様書をご確認ください。

