ある工場では、炭酸ガスの流量計の表示を、1日2回の巡回で読み取っていました。流量計が事務所から離れた4箇所に点在しているため、1回の巡回に30分、朝夕2回で毎日1時間もの点検時間がかかっていました。数値を自動で集めようとしても、事務所までの配線工事は費用が高額になりやすく、導入を見送っていた経緯があります。
本記事では、長距離無線で遠隔監視を行う「Field Magic」を活用し、離れた4箇所の流量計のアナログ信号を事務所のPCへ集約する構成例を紹介します。
流量計の巡回点検と現場の課題
工場の各所に取り付けられた流量計を、担当者が巡回して読み取る運用には、次の課題があります。
巡回・検針に1日1時間の工数がかかる
現場4箇所の流量計を巡回・検針するため、朝夕の2回で毎日計1時間の工数を要しています。さらに現場での手書き記録に加え、事務所での台帳転記やPC入力といった集計作業も別で発生している状態です。
定時巡回では「データの推移」と「突発的な異常」を捉えられない
巡回検針で得られる数値は点検時の「瞬時値」にとどまり、時間帯ごとの変動や設備稼働との相関は追えません。また、巡回の合間や休業日に流量異常が発生しても、次の検針まで発見が遅れる原因になります。
信号線敷設にかかる工事費用の高さ
現場と事務所をつなぐ信号線の敷設には、建屋内や建屋間の大がかりな配線工事が必要です。工事費用の負担が大きく、データ自動収集の導入に踏み切れない現場が多くあります。
そこで、数値を自動収集する方法として、無線によるデータ収集を検討しました。
LoRa無線によるシステム構成
Field Magicは、離れた場所の計測値や機器の状態を無線で集め、親機に記録する計測・制御システムです。グラフ化するアプリを親機に標準搭載しているため、クラウドを使わずにデータの収集からグラフ表示までを完結できます。

今回は、各流量計の脇にField Magicの子機を設置し、流量計のアナログ出力(4–20mA)を取り込みます。データはLoRa無線で事務所の親機へ送信され、流量を自動で定期的に記録・可視化します。
※子機は無電圧接点やパルス信号に対応するモデルもあります。
障害物の多い工場でも中継で対応可能
Field Magicの通信には、WiFiと比較し電波が障害物を回り込む性質(回折性)の高いLoRa無線を採用しています。厚い建屋の壁などで電波が届きにくい場合は、中継用の子機を追加して通信を確保します。
LoRa無線とは
920MHz帯で使われる免許不要の無線方式。信号を時間をかけて送るため、データ量は小さいが弱い電波でも受信でき、見通しが取れれば5km以上届きます。
現場工事は流量計周辺のみで完結
施工は流量計まわりの配線と、事務所への親機設置で済みます。配管や流量計本体には手を加えません。
- 流量計側: アナログ出力端子から子機への信号線接続、子機の電源確保
- 事務所側: 親機の設置と電源確保

事務所のPCブラウザでのデータ確認と活用方法
親機へ集約したデータは、事務所のPCブラウザから確認できます。
流量の自動記録
4箇所の流量を自動で記録し、時間帯ごとの推移をグラフで表示します。1日1時間を要していた巡回・検針と、台帳への転記・入力の作業はなくなり、事務所で確認できます。

閾値による異常の検知
流量が設定値を超えた、または下回った場合に管理画面へ警告を表示します。巡回を待たずに事務所で異常に気づけます。
データ蓄積による使用傾向の把握
流量データの蓄積により、稼働時間帯と流量の関係や、夜間・休業日の想定外の流れを把握できます。日常点検では気づきにくい漏れや無駄な消費の早期発見で、現場の省エネ意識の向上にもつながります。
ローカル運用の強みと設備の拡張性
買い切り型で月額費用が不要
Field Magicはデータの蓄積から画面表示まで、親機に標準搭載されたアプリケーションで処理するため、クラウド契約や通信SIMの月額費用は発生しません。親機をLANへ接続すると、すぐに運用を開始できます。
他の設備・センサへの展開
親機1台に多数の子機を登録できるため、流量計に続いて温度・圧力・電力など他の計測値の収集へ拡張もできます。
Field Magicの子機は、4–20mAのアナログ信号を取り込めるモデルに加え、無電圧接点やパルス信号に対応するモデルもラインアップしています。流量計の出力仕様に合わせて子機を選定できます。
導入前の通信環境の確認用に、BHではデモ機の貸出を行っています。1箇所から導入を試せるトライアルキットもご用意しています。

