LoRa・Wi-Fi・Bluetoothの違い – LoRaが無線干渉に強い理由

近年、工場やビル、物流倉庫など、さまざまな現場でIoT(モノのインターネット)の導入が進み、
遠隔監視や制御を目的とした無線通信の活用
が広がっています。

その中でも注目されているのが、長距離通信が可能で省電力な無線方式「LoRa(ローラ)」です。
設備やセンサーを離れた場所からつなぐ用途が増える一方で、
「Wi-FiやBluetoothなど、既存の無線と干渉しないのか?」という懸念も少なくありません。

LoRaはWi-FiやBluetoothとは異なる周波数帯(920MHz帯)を使用しており、電波が重なって干渉することは基本的にありません

この記事では、その仕組みや周波数帯の特徴、そして他の無線機器と安全に共存できる理由をわかりやすく解説します。

LoRaとWi-Fi・Bluetoothの電波干渉について

まず、LoRaを使った機器を導入を検討するにあたり、最も気になるのが、Wi-FiやBluetoothとの干渉ではないでしょうか。これらは主に「2.4GHz(ギガヘルツ)帯」や「5GHz帯」という周波数帯を利用しています。

一方、LoRaは「920MHz帯」を使用します。利用している周波数帯がまったく異なるため、電波が重なって干渉(混線)することはありません。

通信機器はそれぞれ特定の周波数帯の信号だけを送受信するように設計されています。
そのため、他の帯域の信号は受信対象外として無視され、異なる周波数帯の通信同士が影響し合うことは基本的にありません。

920MHz帯の特徴

920MHz帯は、日本でIoT機器などの通信用に割り当てられた周波数帯です。身近なところでは、家庭のスマートメーター(電気やガスの自動検針)にも使われています。

この周波数帯は、比較的低い周波数のため、壁や棚などの障害物を回り込んで電波が届きやすい特性があり、工場や倉庫といった複雑な環境でも安定した通信がしやすいのが特長です。

920MHz帯を使用する他の機器との共存

次に、「同じ920MHz帯を使用する他のIoT機器やRFID(ICタグ)と混線しないか」という点についてです。結論として、その可能性は非常に低くなっています。

理由としては、日本には「ARIB STD-T108」という920MHz帯特定小電力無線設備の電波に関する規格があり、メーカーはこの規格に準拠して製品を設計しているためです。

電波の規格「ARIB STD-T108」による対策

この規格は、同じ周波数帯を複数の機器で公平に利用し、混信を回避するための仕組みを定めています。

  • 送信出力の制限
    最大出力が20mW(ミリワット)と非常に低く制限されており、他の機器へ影響を与えにくい設計となっています。
  • 通信チャネルの分割
    同じ周波数帯を38個の細かい「チャネル」に分割し、通信の重複を避けるようになっています。
  • LBT (Listen Before Talk) 方式
    無線を送信する前に、そのチャネルで他の機器が通信が無いかを確認(キャリアセンス)します。通信中であれば待機し、空いていることを確認してから送信を行うため、通信の衝突(コリジョン)を防ぎます。
  • 送信時間の制限
    一度に送信可能な時間や、1時間あたりの合計送信時間に上限が設けられており、特定の機器がチャネルを占有できない仕組みになっています。

このように、規格に準拠した機器同士であれば、同じ920MHz帯に新しい機器を追加しても、既存の機器に影響を与える可能性は最小限に抑えられます。

LoRa技術で実現する長距離通信

BHの製品は、この920MHz帯のLoRa通信を採用することで、お客様の既存設備への影響を抑えつつ、長距離かつ安定した無線通信を支援します。(※【LoRa無線の通信距離を実測】海ほたる〜袖ヶ浦で行った飛距離試験レポートの記事では東京湾の海上での通信試験を実施し、数kmにわたる長距離通信の実証も行いました。)

既存設備への影響が気になる場合や、導入前に通信環境を確認したい場合は、無線環境調査や事前テストも行っていますので、お気軽にお問い合わせください。

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